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用語集

ビジネス実務法務検定3級の頻出用語を解説します。全56用語を難易度別に表示しています。

公法 基礎

国家と個人・企業の関係を規律する法。憲法・刑法・行政法・税法などが該当します。ビジネス法務では主に私法が中心となるが、独占禁止法など公法的性格を持つ法律も重要です。

私法 基礎

個人・企業間の対等な関係を規律する法。民法・商法・会社法などが該当します。ビジネス実務法務検定3級では主に私法の知識が問われます。

強行法規 基礎

当事者の合意があっても変更できない規定。消費者保護・労働者保護に関する規定が典型例。これに反する契約は無効となります。「どんな合意をしても適用される最低ラインのルール」と覚えましょう。

任意法規 基礎

当事者間の合意で異なるルールを適用できる規定。合意がない場合のデフォルトルールとして機能します。強行法規と異なり、「特約で変更できる規定」です。

特別法 基礎

一般法に対して特定の人・事項・地域に適用される法律。特別法は一般法に優先します(特別法優先の原則)。例えば、商取引には民法(一般法)より商法(特別法)が優先します。

無効 基礎

法律行為が最初から法律上の効力を持たないこと。公序良俗違反・強行法規違反・通謀虚偽表示などが無効の例。取消しと異なり、誰でも・いつでも主張でき、追認しても効力は生じません。【場面例】労働契約に「残業代は一切払わない」と定めた条項は労働基準法(強行法規)に違反するため無効となり、労働者は残業代を請求できます。

取消し 基礎

取消しうる法律行為を、取消権者が遡及的に無効にすること。取り消すまでは有効な点が「無効」と異なります。詐欺・強迫・錯誤・制限行為能力者の行為などが取消しの対象。取消権は追認できる時から5年・行為の時から20年で消滅します。【場面例】訪問販売業者に「この投資商品は必ず値上がりします」と断言されて契約した→詐欺を理由に取り消すことができ、支払済みの代金を返還請求できます。

契約 基礎

申込みと承諾の意思表示が合致することで成立する法律行為。口頭でも成立するが、証拠として書面化が重要。申込みの内容を変えて承諾した場合は新たな申込みとみなされます(変更承諾)。

意思表示 基礎

法律効果(権利の発生・変更・消滅)を生じさせる意思を外部に表示する行為。申込み・承諾・解除・取消しなどが意思表示にあたる。問題のある意思表示(錯誤・詐欺・強迫など)は取消しの対象になります。

善意(法律用語)/善意の第三者 基礎

「ある事情を知らないこと」を意味する法律用語。日常語の「優しい」とは全く異なります。「善意の第三者」=その事情を知らない第三者のこと。対義語は「悪意(その事情を知っていること)」。【場面例】AがBを騙して土地を売らせ、その後CにもAが売った。Cが「詐欺があった事情を知らない(善意)」場合、被害者BはCに取消しを対抗できず、CがAから有効に土地を取得します。

悪意(法律用語) 基礎

「ある事情を知っていること」を意味する法律用語。道徳的な「意地悪」とは無関係。「悪意の相手方」=その事情を知っている相手方のこと。善意と悪意の区別は詐欺・通謀虚偽表示などの効力を左右する重要な基準です。

錯誤 中級

意思表示の内容と表意者の真意が一致しない場合。「100万円と書くつもりが10万円と書いた(表示の錯誤)」「値上がりすると思って買ったが実は値下がりした(動機の錯誤)」などが例。要素の錯誤であり重大な過失がない場合に取消しが認められます。

詐欺 中級

他人を欺いて意思表示させること。被害者は取り消すことができるが、善意・無過失の第三者には取消しを対抗できません。強迫(脅された場合は善意の第三者にも対抗可能)との違いが試験頻出。

強迫 中級

脅して意思表示させること。被害者は取り消すことができ、詐欺と異なり善意の第三者にも対抗できます。意思の自由が完全に奪われるため、表意者保護が第三者保護より優先されます。

通謀虚偽表示 中級

相手方と示し合わせて真意でない意思表示をすること(仮装売買など)。当事者間では無効だが、善意の第三者には無効を主張できません。「外観を信頼した第三者を保護する」という法の趣旨による。

物権 中級

物を直接・排他的に支配する権利。所有権・地上権・抵当権・質権などが該当します。「同じ物の上に同一内容の物権は1つしか存在できない(一物一権主義)」という原則があります。

対抗要件 中級

物権変動(所有権の移転など)を第三者に対抗(主張)するために必要な要件。不動産は登記、動産は引渡しが対抗要件。同じ不動産を二人に売った(二重譲渡)場合、先に登記を備えた方が所有者として保護されます。【場面例】中古マンションを購入したが登記を後回しにしていたところ、売主が別の人にも売ってその人が先に登記した→先に登記した人が所有者となり、後から登記しようとしても対抗できません。

抵当権 中級

債務の担保として不動産を提供し、返済できない場合に競売にかけて優先弁済を受ける権利。担保物件を債権者に引き渡さない(非占有型担保)のが特徴。登記が対抗要件。

質権 中級

債務の担保として動産・有価証券・不動産を質権者に引き渡し、返済できない場合に優先弁済を受ける権利。抵当権と異なり担保物件の引渡しが設定要件(占有型担保)。

債務不履行 中級

契約上の義務(債務)を履行しないこと。①履行遅滞(期限を過ぎても履行しない)、②履行不能(履行が不可能になった)、③不完全履行(履行したが不完全)の3種類があります。債権者は損害賠償請求・契約解除ができます。

損害賠償 中級

不法行為・債務不履行によって生じた損害を金銭で填補すること。通常損害(通常生ずべき損害)と特別損害(予見可能な特別事情による損害)があります。精神的損害(慰謝料)も含まれます。

連帯保証 中級

保証人が主たる債務者と連帯して債務を負う保証。通常の保証(単純保証)と異なり、①催告の抗弁権(まず主債務者に請求してほしいと言える権利)と②検索の抗弁権(主債務者の財産を先に差し押さえてほしいと言える権利)がありません。債権者はいきなり連帯保証人に全額請求できます。【場面例】中小企業が銀行融資を受ける際、経営者が連帯保証人になるケースが多い。会社が倒産して返済できなくなると、銀行は経営者個人の財産(自宅・貯金)に全額請求できます。

手形・小切手 中級

金銭の支払いを目的とする有価証券。約束手形は振出人が一定期日に一定金額を支払うことを約束する証券。小切手は銀行に支払いを委託する証券で呈示後10日以内に提示が必要。文言証券性(証券の文言通りに権利が決まる)が特徴。

消費者契約法 中級

事業者と消費者の間の契約に適用される法律。①不当な勧誘行為(不実告知・断定的判断の提供・不退去など)による契約は取り消せます。②不当条項(消費者の利益を不当に害する条項)は無効。取消権は追認できる時から1年・契約から5年で消滅。

クーリングオフ 基礎

契約後の一定期間内に無条件で契約を解除できる制度(特定商取引法)。訪問販売・電話勧誘販売は8日間、連鎖販売取引(マルチ商法)・業務提供誘引販売は20日間。通信販売にはクーリングオフの規定はなく、返品特約による。書面(または電磁的記録)を発信した時点で効力が発生(発信主義)。【場面例】自宅に来た業者に高額な浄水器(50万円)を契約させられた→契約書受領日を1日目として8日以内にハガキを送るだけで解除でき、違約金は不要です。

労働契約 基礎

労働者が使用者に労働力を提供し、使用者が賃金を支払う契約(労働契約法第6条)。労働基準法は労働条件の最低基準を定める強行法規であり、これを下回る労働契約の部分は無効となります。

36協定 基礎

時間外・休日労働をさせるために必要な労使間の書面協定(労働基準法第36条)。使用者と労働者代表が締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。協定なしに法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働かせると違法となります。

割増賃金 基礎

時間外・深夜・休日労働に対して支払う割増部分の賃金。時間外は25%以上、深夜(22時〜5時)は25%以上、法定休日は35%以上の割増が必要。月60時間超の時間外労働は50%以上となります。

就業規則 基礎

常時10人以上の労働者を使用する事業場で作成・届出が義務付けられる規則。始業・終業時刻、休憩、休日、賃金、退職などを定めます。作成・変更時は労働者代表の意見を聴く必要があります(同意は不要)。

解雇 中級

使用者による労働契約の一方的な解約。客観的合理的理由があり社会通念上相当でなければ「解雇権の濫用」として無効(労働契約法第16条)。少なくとも30日前の予告または解雇予告手当の支払いが必要(労基法第20条)。業務上傷病の療養期間中などは解雇禁止。

不当労働行為 中級

使用者が労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)を妨害する行為(労働組合法第7条)。組合員への不利益取扱い、正当な理由なき団体交渉拒否、支配介入などが該当します。労働委員会に救済を申し立てることができます。【場面例】「労働組合に加入したから」という理由で降格・減給した、または「組合と話し合うつもりはない」と団体交渉を拒否した→いずれも不当労働行為にあたり、労働委員会に救済申立てができます。

不法行為 基礎

故意または過失によって他人の権利・利益を侵害し損害を与える行為(民法第709条)。成立要件は①故意・過失、②権利侵害、③損害の発生、④因果関係の4つ。被害者が加害者の過失を立証する責任を負います。時効は損害・加害者を知った時から3年(または行為から20年)。

使用者責任 中級

被用者(従業員)が事業の執行中に第三者に損害を与えた場合、使用者(会社)も連帯して賠償責任を負う制度(民法第715条)。使用者が選任・監督について相当の注意をしていた場合は免責されるが、実際には認められにくい。【場面例】宅配業者のドライバーが配達中に脇見運転で歩行者をはねた→ドライバー個人だけでなく、雇用している配送会社も被害者に対して損害賠償責任を負います。

製造物責任(PL法)/欠陥 中級

製造物の欠陥によって生命・身体・財産に損害が生じた場合、製造業者が過失なく賠償責任を負う無過失責任制度(製造物責任法:Product Liability)。被害者は「欠陥」を証明すれば足り、製造業者の過失の立証は不要。「欠陥」とは製品が通常有すべき安全性を欠くことで、①製造上の欠陥(異物混入など)、②設計上の欠陥(構造的に危険)、③指示・警告上の欠陥(危険表示の不備)の3類型があります。時効は損害・製造業者を知った時から3年、または製品引渡しから10年。【場面例】電気ケトルの設計ミスで沸騰中に破裂してやけどを負った→被害者は「設計上の欠陥があった」ことを証明すれば、製造業者の過失を立証しなくても損害賠償を請求できます。

個人情報 基礎

生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの(個人情報保護法)。死者の情報は含まれません。マイナンバー・指紋データなどの個人識別符号も個人情報に該当します。

要配慮個人情報 中級

差別・偏見等の不利益が生じないよう特に慎重な取り扱いが必要な個人情報。人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪歴・障害・健康診断結果などが該当します。本人の同意なく取得することが原則として禁止されています。

善管注意義務 中級

「善良な管理者としての注意義務」の略。委任契約(会社と取締役の関係)から生じる義務で、一般人より高い水準の注意が求められます(民法第644条・会社法第330条)。会社の利益のために誠実に職務を行う忠実義務(会社法第355条)とセットで覚えること。

株式会社 基礎

株式を発行して資金を調達する会社形態。株主の有限責任(出資額の限度でのみ責任を負う)・法人格・株式の自由譲渡性が3大特徴。株主総会が最高意思決定機関で、取締役会が業務執行を決定・監督します。

株主総会 中級

株式会社の最高意思決定機関。普通決議(議決権の過半数)は取締役の選任・剰余金配当などに使用。特別決議(議決権の3分の2以上)は定款変更・合併・解散など重要事項に必要。

カルテル 中級

競争関係にある事業者間で、価格・数量・取引先等について取り決める行為。独占禁止法が禁止する「不当な取引制限」に該当し、刑事罰の対象になる重大な違反行為。公正取引委員会が取り締まる。

優越的地位の濫用 中級

取引上の地位が優越している事業者が、その立場を利用して取引相手に不当に不利益な条件を押し付ける行為。独占禁止法の不公正な取引方法に該当します。一方的な協賛金要求・返品強制・押し付け販売などが典型例。

営業秘密 中級

不正競争防止法で保護される秘密情報。保護されるには①秘密として管理されていること(秘密管理性)、②事業活動に有用な情報であること(有用性)、③公然と知られていないこと(非公知性)の3要件がすべて必要。【場面例】食品メーカーの元社員が退職後に競合他社へ転職し、在職中に知った製造レシピを提供した→社内で秘密として管理されていた情報であれば、退職後であっても不正競争防止法違反として差止請求・損害賠償の対象となります。

特許権 基礎

高度な発明(技術的思想の創作)を保護する権利。登録が必要で、存続期間は出願日から20年。登録要件は新規性・進歩性・産業上利用可能性の3つ。特許庁への出願・審査を経て登録されます。

実用新案権 中級

物品の構造・形状・組み合わせの考案(小発明)を保護する権利。無審査登録制度で、存続期間は出願日から10年。権利行使時には技術評価書の提示が必要。特許より高度性の要件が低い。

意匠権 中級

物品・建築物・画像のデザイン(外観)を保護する権利。登録が必要で、存続期間は登録日から25年。起算点が「登録日」である点が、出願日から起算する特許・実用新案と異なる重要ポイント。

著作権 基礎

思想・感情を創作的に表現した著作物(小説・音楽・プログラムなど)を保護する権利。登録不要・創作と同時に自動発生するのが産業財産権との最大の違い。存続期間は著作者の死後70年(法人著作物は公表後70年)。

著作隣接権 中級

著作物の伝達者(実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者)に認められる権利。著作権とは別の権利であり、俳優・歌手などの実演家もこの権利を持ちます。保護期間は原則として固定等の時点から70年。

商標権 基礎

商品・サービスのブランド(文字・図形・記号など)を保護する権利。登録が必要で、存続期間は登録日から10年だが更新可能(半永久的に存続できる)。機能は出所表示・品質保証・広告宣伝の3つ。

知的財産権 基礎

知的創造活動の成果を保護する権利の総称。産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)は特許庁への登録が必要。著作権は登録不要・自動発生。産業財産権は「登録しなければ保護されない」という点で著作権と根本的に異なります。

仲裁 中級

当事者が仲裁合意を結び、仲裁人の判断(仲裁判断)に従う紛争解決手続き。①仲裁合意が事前に必要、②仲裁判断に当事者は従う義務がある、③仲裁合意した事項は訴訟提起不可、以上の3点が重要。調停と混同しないこと。

調停 中級

調停委員が当事者間に入り、合意形成を助ける紛争解決手続き。合意が前提であり、当事者が合意しなければ成立しません(強制力なし)。調停が成立すれば確定判決と同一の効力を持つ調停調書が作成されます。仲裁と異なり、不成立なら訴訟提起が可能。

ADR(裁判外紛争解決手続) 中級

Alternative Dispute Resolution の略。訴訟によらない紛争解決手続きの総称(調停・仲裁・あっせんなどを含む)。訴訟より費用・時間が節約でき、非公開で専門的知識を持つ第三者が関与できる利点があります。

破産 中級

支払不能・債務超過の場合に申し立てられる清算型の倒産手続き(破産法)。裁判所が選任した破産管財人が財産を換価・配当します。法人の場合は破産手続き終了で法人格が消滅。再建型(民事再生・会社更正)と異なり、会社はたたむ。

民事再生 中級

現経営者が経営を継続しながら再生計画を立案・実行する再建型の倒産手続き(民事再生法)。中小企業・個人も利用可能。再生計画は議決権者の過半数かつ議決権額の過半数の同意で可決されます。住宅ローン特則により自宅を維持しながら手続きを進めることもできます。

会社更正 中級

現経営者を排除し、更生管財人が管理・経営する再建型の倒産手続き(会社更正法)。株式会社のみが利用可能。担保権者(抵当権者等)も手続きに取り込まれる(破産・民事再生の別除権とは異なる)点が特徴。大企業向け。

別除権 上級

破産手続き開始前から担保権(抵当権・質権など)を持っていた債権者が、破産手続きとは別に独立して担保権を実行できる権利(破産法)。担保権者は「優先的に回収できる立場」として特別扱いされます。会社更正では担保権者も手続きに取り込まれる点が異なります。