スポーツと特殊なチョーク|クライミング・ビリヤード・裁縫
クライミング選手が手にぬる白い粉も、ビリヤードでキューにこすりつける小さな塊も、洋裁で布に線を引く道具も、ぜんぶ「チョーク」と呼ばれます。でも黒板用とは目的も成分もまるで違います。その秘密を見てみましょう。
クライミングの白い粉は、すべりどめじゃなくて「手のあせをすって、かわかす」ためのものなんだ。
クライミング・体操用チョーク
ボルダリングや体操、重量挙げの選手が手のひらにぬる白い粉。これは多くが 炭酸マグネシウム という成分でできています。
意外に思うかもしれませんが、この粉そのものに「すべり止め」の力があるわけではありません。むしろ、つるつるの床にまくと逆にすべってしまうほどです。
ではなぜ手にぬるのか。答えは 「手の汗を吸い取って、手をサラサラに保つため」。粉が小さなスポンジのように水分を吸い、汗ですべるのを防ぎます。つまり「摩擦を増やす」のではなく「汗によるすべりを取りのぞく」のが本当の役割です。
「すべり止め=ザラザラさせるもの」と思いがちですが、クライミング用チョークは“乾かす”ことで効果を出しているのがポイントです。
ビリヤード用チョーク
ビリヤードで使う青や緑の小さな立方体も「チョーク」と呼ばれます。これはキュー(突き棒)の先につけた革(タップ)にこすりつけて使います。
役割は、ボールを突く瞬間に キュー先と球がすべらないように摩擦をつける こと。これがないと、突いた瞬間にツルッとすべってしまい、ねらった通りに球を操れません。成分は黒板用とは違い、ケイ酸塩などをベースにした専用のものです。
テーラーズチョーク(裁縫用)
洋裁で、布に型紙の線をうつすときに使う「チャコ(テーラーズチョーク)」もチョークの仲間です。
ただし今のチャコは、黒板用のような炭酸カルシウムをほとんど使わず、ロウ(ワックス) をベースにしたものが多くあります。布をいためず、あとできれいに消せることが大切だからです。
ロウ系のチャコの線は、当て紙(あてがみ)をして低い温度のアイロンを軽く当てると、熱でロウがとけて紙にうつり、布をいためずに消すことができます。
このほか、水でぬらすと消えるタイプや、時間がたつと自然に消えるタイプ、粉状で削りながら使うタイプなど、チャコにもいくつかの種類があります。大切なのは「はっきり印が見えること」と「あとで生地をいためずに消せること」の両立。仕立ての世界でも、目的に合わせて道具を選ぶ工夫がされているのです。
まとめ
- クライミング用は炭酸マグネシウムで、汗を吸って手を乾かすのが目的。
- ビリヤード用はキュー先の摩擦を保つための専用品。
- 裁縫用チャコはロウ系が多く、布に印をつけてあとで消すための道具。
同じ「チョーク」でも、すべりを「止める・あやつる・印をつける」と、役割はさまざまです。
よくある質問
Q. クライミングのチョークと黒板のチョークは同じもの?
A. 別物です。黒板用は炭酸カルシウムや石膏が主成分ですが、クライミング用は炭酸マグネシウムで、手の汗を吸い取って手をサラサラに保つのが目的です。
Q. ビリヤードのチョークは何のためにつけるの?
A. キュー先端の革(タップ)にこすりつけて、球を突く瞬間にすべらないよう摩擦をつけるためです。成分は黒板用とは違い、ケイ酸塩などをベースにした専用品です。