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ビーツの栄養と健康効果|硝酸塩・ベタレイン・葉酸

最終更新: 2026年5月18日

ビーツは「奇跡の野菜」や「飲む輸血」と呼ばれることがあります。血管をゆるめる働きが報告されている硝酸塩、抗酸化作用を持つとされるベタレイン、葉酸、ナトリウムの排出を助けるカリウム。こうした栄養素について、臨床研究で確かめられている範囲を中心に、家庭目線で整理します。健康効果には個人差があり、ここでの内容は医療助言の代替ではありません。

⚠️ 医学的助言ではありません本サイトは一般的な情報を提供するもので、医師の診断・治療・予防の代わりにはなりません。健康上の懸念がある方は医師にご相談ください。

ビーツの栄養成分(100gあたり)

まずは、ビーツの可食部100g(中サイズの約1/2個分)にどんな栄養素がどれだけ含まれているか、他の身近な野菜と比べながら見てみましょう。

栄養素ビーツ100g中他の野菜との比較主な働き
硝酸塩約 250 mgニンジンの約2.5倍血管拡張・血圧低下・持久力向上が報告されている
葉酸(B9)約 110 µgトマトの約5倍赤血球の生成、胎児の発育
カリウム約 380 mgレタスの約1.9倍余分なナトリウムの排出、血圧安定
約 0.8 mgキャベツの約2倍酸素運搬、貧血予防
ベタシアニン含有一般的な野菜に含まれない抗酸化作用・抗炎症作用が報告されている
食物繊維約 2.5 gナスの約2.3倍整腸、血糖値の急上昇を抑制
ベタイン約 128 mgホウレンソウの約2倍肝臓の脂肪蓄積を抑える、皮膚保湿

数字だけではピンと来ないかもしれません。特に注目したい3つの成分、「硝酸塩」「ベタレイン」「葉酸とカリウム」を順に説明します。

主役は「硝酸塩」と一酸化窒素

ビーツの健康効果を語るうえで、まず外せないのが 硝酸塩 という成分です。「硝酸塩」と聞くと「体に悪いのでは?」と心配される方もいるかもしれませんが、野菜由来の硝酸塩は体内で 一酸化窒素(NO) という体に良い物質に変わり、さまざまな良い働きをしてくれます。

体内での変化の流れ

ビーツを食べてから、体に作用するまでの流れは次の3ステップです。

  1. ビーツの硝酸塩が腸から血液に吸収される
  2. 一部が唾液に戻り、舌の奥にいる細菌の働きで「亜硝酸塩」に変わる
  3. 胃や全身の組織で、最終的に「一酸化窒素(NO)」になる
ビーツに多い硝酸塩は、口の中の細菌や体内のはたらきで一酸化窒素(NO)に変わります。NOには血管をゆるめて広げる作用があり、血圧の低下などが報告されています。(写真ではなく模式図です)

この 一酸化窒素 こそが、ビーツの健康効果の主役です。一酸化窒素は血管をゆるめて広げる働きがあり、これによって次のような効果が期待できます。

  • 血圧の低下:臨床試験では、ビーツジュースを毎日飲むと収縮期血圧(上の血圧)が平均で約5ポイント下がったという結果が報告されています
  • 血流のサポート:血管が広がることで、全身の血流を助けると考えられています
  • 脳血流・認知機能:短時間の試験では脳の血流や課題成績の変化が報告された一方、高齢者を対象とした13週間の試験では認知機能・脳血流に変化がみられなかったという報告もあり、結果は一貫していません
  • 持久力の向上:運動中の酸素の利用効率が上がると報告されています

サプリのカプセル錠で硝酸塩を取る場合、口の中を通らずに直接胃に届くため、上記のステップ2(唾液中の細菌による変換)をスキップしてしまいます。血管拡張の効果を最大限に得るには、生のビーツ・ジュース・茹でたビーツ など、口腔内を通って摂取できる形が理想です。

ベタレイン(赤色色素)の抗酸化作用

ビーツのあの鮮やかな赤紫色を作っているのが、ベタレイン(より細かく言うと「ベタシアニン」)という天然色素です。この色素はビーツとサボテンの実くらいにしか含まれない、植物界でも珍しい成分です。

ベタレインの注目点は、強い抗酸化作用 が報告されていることです。私たちの体は呼吸や代謝の過程で「活性酸素」という物質を作り出していて、これが過剰になると細胞を傷つけ、老化や生活習慣病の原因になると考えられています。ベタレインは、この活性酸素を中和する働きが研究で報告されています。

ベタレインに期待される働き

  • 抗酸化作用:活性酸素を中和する働きが報告されている
  • 抗炎症作用:炎症に関わる指標を抑えるという報告がある
  • 解毒に関わる酵素のサポート:肝臓で解毒に関わる酵素を助ける可能性が指摘されている
  • DNA・細胞の保護:細胞の損傷を抑える働きが示唆されている

ただし、これらの多くは試験管や動物実験など 研究段階 で確かめられたもので、人での効果がはっきり確立しているわけではありません。ベタレインの健康効果に関するヒトでの臨床試験はまだ少ない、というのが現時点の状況です。

ベタレインは熱に弱いため、栄養を最大限に取り入れたいなら、できるだけ 生のサラダスムージー で食べるのがおすすめです。加熱する場合も、皮ごと茹でて流出を防ぐのがコツです(料理とレシピ で詳しく解説します)。

葉酸・カリウム・鉄・ベタイン

ビーツには、硝酸塩やベタレイン以外にも、見逃せない栄養素がたっぷり含まれています。

葉酸(ようさん)

葉酸 は、赤血球をつくったり、細胞分裂をスムーズに進めたりするのに欠かせないビタミンです。特に妊婦さんには重要で、お腹の赤ちゃんの神経管が正常に育つために、十分な量の葉酸が必要だとされています。

ビーツ100gには約110µgの葉酸が含まれており、これは成人の1日推奨量(240µg)の約半分にあたります。

カリウム

カリウム は、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として排出するのを助けるミネラルです。日本人は塩分を取りすぎる傾向があるので、カリウムを意識して取ることは血圧コントロールにとても大切です。

ビーツのカリウム含有量はレタスの約2倍。むくみが気になる方にも嬉しい栄養素です。

鉄分

は赤血球の構成成分で、不足すると貧血になります。ビーツにも鉄分は含まれますが、ホウレンソウなど鉄分の多い野菜に比べて特別多いわけではありません。鮮やかな赤色から「飲む輸血」と呼ばれることもありますが、これは色からの愛称で、医療的な意味ではありません。

ベタイン

ベタイン は、肝臓に脂肪が溜まるのを防ぐ働きや、血液中の「ホモシステイン」という物質(増えすぎると動脈硬化のリスクになる)を減らす作用が知られています。また、お肌の水分を保つ成分としても化粧品に使われています。

スポーツ・運動パフォーマンスへの効果

ビーツは、いまやアスリートの間で「天然のパフォーマンスアップ食材」として広く知られています。これは硝酸塩 → 一酸化窒素の働きで、運動中の酸素利用効率が上がるためです。

競技タイプ期待される効果摂取の目安
持久系(マラソン・サイクリング)疲労困憊までの時間が 4〜25%延長試合の2〜3時間前
高強度・間欠的(サッカー・球技)スプリント能力が 3〜5%改善試合の2〜3時間前+日常的な摂取
短距離・パワー系効果は限定的

摂取のタイミング

  • 試合当日:運動の2〜3時間前にビーツジュース1本(約100〜200ml)または茹でたビーツ約80g
  • コンディショニング期:試合の3〜7日前から毎日少量を継続摂取

一般の方の運動でも、ウォーキング前やジム前に飲むと体が動かしやすくなったという声があります。無理のない範囲で取り入れてみてください。

効率よく栄養を取るには?

ビーツの栄養を最大限に活かすコツを、最後にまとめておきます。

  • 加熱方法を選ぶ:水溶性のベタレイン・硝酸塩を逃したくないなら、皮付きでロースト or 蒸す。茹でる場合は丸ごとで
  • 生でも食べられる:薄くスライスしてサラダに。栄養の保存率は最高
  • 乳製品と一緒に:シュウ酸対策として、ヨーグルトやサワークリームと組み合わせる(注意点 で詳しく解説)
  • 食べすぎない:健康な成人で1日100g(中サイズ1/2〜1個)、週2〜3回が目安

ビーツは健康効果が大きい一方で、シュウ酸やカリウムなど、人によっては注意が必要な成分も含まれています。特に腎臓に持病がある方、結石歴のある方、低血圧の方は、必ず 注意点と副作用のページ もご一読ください。

ビーツがどこで作られ、いつが旬なのか。産地と季節も知っておくと、選ぶときに役立ちます。

👉 日本国内のビーツ栽培・産地・旬のページを読む

❓ よくある質問

Q. ビーツは「飲む輸血」と呼ばれるほど栄養豊富というのは本当ですか?

A. ビーツは葉酸・カリウム・食物繊維・抗酸化色素ベタレインなどを含む栄養価の高い野菜です。ただし「飲む輸血」というのは鮮やかな赤色からの比喩で、鉄分が特別多いわけではありません(鉄分はホウレンソウなどの方が豊富です)。さまざまな食材とのバランスの中で取り入れるのがおすすめです。

Q. ビーツの硝酸塩が血圧や運動パフォーマンスに良いと聞きました。本当ですか?

A. ビーツに多く含まれる硝酸塩が体内で一酸化窒素に変わり、血管の働きや持久系運動に関わる可能性が複数の研究で示唆されています。ただし効果には個人差があり、治療や薬の代わりになるものではありません。持病がある方や薬を服用中の方は、取り入れる前に医師にご相談ください。

Q. ビーツの糖質やカロリーは高めですか?

A. ビーツは野菜の中ではやや糖質が多め(おおよそ100gあたり7〜9g)で、ほんのり甘みがあります。一方でカロリーは100gあたり約40kcalと高くはありません。糖質を控えたい方は量を意識すると良いでしょう。

Q. 加熱すると栄養は減ってしまいますか?

A. 葉酸やビタミンCなど熱や水に弱い成分は、長時間ゆでると煮汁に流れ出てしまいます。皮ごと蒸す・丸ごとローストする・電子レンジを使うなどの方法だと損失を抑えやすくなります。ゆで汁をスープに活用するのも一つの工夫です。

Q. 子どもや妊娠中でもビーツを食べられますか?

A. 一般的な食品として適量であれば問題ないとされますが、適量や体質には個人差があります。量の目安や注意点は [注意点と副作用](/beets-info/cautions/) のページにまとめています。心配な場合は医師や管理栄養士にご相談ください。

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