法律行為と意思表示
法律行為・意思表示の概念、無効と取消しの違い、意思の欠缺(錯誤・詐欺・強迫)を学びます。
意思表示が問題になる場面
「騙されて不動産を売ってしまった」「内容を誤解したまま契約書にサインしてしまった」。こうしたケースでは、意思表示の内容と当事者の真意がずれており、契約の効力が問われます。法律行為と意思表示の理解は、契約の有効性を判断する上で最も基本的な知識です。
法律用語の注意:「善意(ぜんい)」は日常語の「優しい」ではなく「その事実を知らないこと」を意味します。「悪意(あくい)」も「意地悪」ではなく「その事実を知っていること」です。道徳的な評価とは無関係な法律専門用語ですので、まずここを押さえましょう。
法律行為とは
法律行為とは、意思表示を要素とし、権利の発生・変更・消滅という法律効果を生じさせる行為です。売買契約(申込みと承諾の合致)が代表例です。
無効と取消しの違い
意思表示に問題があるとき、「なかったことになる」方法が2種類あります。この2つの混同が試験で最も多い失点パターンです。
取消権の消滅時効:取消権は追認できる時から5年、または行為の時から20年行使しないと消滅します(民法126条)。「1年・5年」は改正前の旧規定なので注意しましょう。
錯誤による意思表示
「勘違い(錯誤)」とは、意思表示の内容と真意が一致しない場合をいいます。
錯誤が要素の錯誤(その錯誤がなければ意思表示しなかったといえるほど重要な錯誤)であり、表意者に重大な過失がない場合に限り取り消すことができます。動機の錯誤は、さらにその動機が相手方に示されていた場合に限り取消しが可能です。なぜなら、外部から見えない動機まで保護すると、相手方の取引の安全が著しく損なわれるからです。
詐欺・強迫による意思表示:第三者への対抗が試験の最重要ポイント
詐欺・強迫はいずれも取消しうる行為ですが、善意の第三者への対抗の可否に決定的な差があります。
詐欺は被害者にも落ち度があった場合があり得るのに対し、強迫は意思の自由が完全に奪われているため、表意者保護が徹底されます。これにより、強迫の場合は善意の第三者も保護されません。
心裡留保と通謀虚偽表示
「うそ・ふり」の意思表示の2類型です。第三者の保護の仕組みが異なります。
通謀虚偽表示は「債権者から財産を隠すための仮装譲渡」が典型例です。当事者間では無効ですが、善意の第三者(事情を知らずに買い受けた人)を保護するため、その第三者には無効を主張できません。これにより取引の安全が図られます。
確認クイズ(抜粋)
Q1. 無効と取消しの違いとして最も適切なものはどれか。
A. 無効は最初から効力がなく、取消しは取り消すまでは有効である
Q2. 詐欺による意思表示について正しいものはどれか。
A. 取り消すことができるが、善意・無過失の第三者には対抗できない
Q3. 強迫による意思表示について正しいものはどれか。
A. 取り消すことができ、善意の第三者にも対抗できる
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