見どころ

飛鳥山公園と名主の滝——王子七滝の記憶

吉宗が開いた桜の名所と、今も残る唯一の滝。

吉宗が開いた桜の名所

飛鳥山公園には、元文2年(1737年)に飛鳥山碑が建てられ、東京都指定有形文化財として今も残る。碑の裏面には飛鳥山の四方の境界を示す文章(四至牓示)が刻まれている。ほかにも、幕末の思想家・佐久間象山の遺墨をもとにした「桜の賦の碑」(勝海舟の筆)、明治三十七八年戦役記念碑(1906年)など、時代の異なる複数の記念碑が公園内に点在する。平成10年(1998年)には、北区飛鳥山博物館・紙の博物館・渋沢史料館という「飛鳥山3つの博物館」が開館した。

渋沢栄一の邸宅跡

渋沢栄一は明治34年(1901年)から昭和6年(1931年)に没するまで、飛鳥山に本邸「曖依村荘(あいいそんそう)」を構えた。戦災を免れた「晩香廬」「青淵文庫」の2棟は、平成17年(2005年)12月27日に国の重要文化財に一括指定されている。晩香廬の竣工年については、重要文化財の指定書は大正7年(1918年)とする一方、建設を請け負った清水組の社史などでは大正6年(1917年)11月落成とされ、資料によって1年のずれがある。本サイトでは「大正6〜7年(1917〜1918年)」と幅を持たせて記載する。

王子七滝、唯一残った「名主の滝」

石神井川下流は、中世の熊野・若一王子勧請にちなんで「音無川」とも通称された。この川が刻んだ崖線からは、かつて男滝・女滝・独鈷の滝・不動の滝・金輪の滝・見晴の滝・名主の滝という「王子七滝」が湧き出しており、『江戸名所図会』にも描かれる名所だった。近代の都市化と河川改修によって大半が失われ、現存するのは「名主の滝」だけである。名主の滝は、王子村の名主だった畑野孫八が自邸に開いた滝が起こりとされ、現在は北区立名主の滝公園(岸町1丁目)として整備されている。

公園内でもっとも大きい男滝は、現在は地下水をポンプで循環させる人工の滝である。令和7年(2025年)8月4日から令和10年(2028年)3月末まで、再生整備工事のため男滝は運転を停止している。この期間に訪れても、滝の水が流れていない点に注意が必要である。

出典
  • 北区公式サイト(飛鳥山の沿革・記念碑一覧)
  • 渋沢史料館公式サイト(晩香廬・青淵文庫の指定年・竣工年の異説)
  • 北区公式サイト「名主の滝公園」(男滝の運転停止期間)

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