地名の由来

「王子」という地名:熊野の神を勧請した土地

「岸村」だった土地が、若一王子を祀ったことで「王子」に変わりました。

熊野から迎えた神の名が、土地の名になった

「王子」という地名は、鎌倉時代後期の元亨2年(1322年)、武蔵国豊島郡を治めていた豪族・豊島氏が、紀伊国(現在の和歌山県)の熊野本宮大社から「若一王子(にゃくいちおうじ)」の神霊を勧請し、社殿を再興したことに由来すると伝えられています。この勧請を機に、それまで「岸村」と呼ばれていた土地は「王子村」へと改称されたといいます。

若一王子を祀った社は、のちの王子神社です。地名が神社の名からそのまま付けられた例は各地にありますが、王子の場合はその神が遠く紀伊国の熊野から迎えられた神であるという点に特徴があります。

勧請以前をめぐる伝承

「岸村」という旧名の由来について、本サイトでは確かめられた説明を載せていません。勧請より前の話としては、前九年の役(11世紀)のころに源氏の武将が戦死者の慰霊をこの地で行い、鎧を奉納したという伝承が紹介されています。ただし、武将の名や年次を裏づける資料は確認できていません。

決着していない勧請の年代

「元亨2年に勧請され、岸村から王子村へ改まった」という説明は、広く紹介されている通説です。一方で、『日本歴史地名大系』が『水府志料』を引いて文明10年(1478年)の鎮座としていると紹介する資料もあり、年代は資料によって揺れます。本サイトでは、1322年を伝承の年として紹介しつつ、確定した史実としては断定しません。

王子の地名が生まれるまでの年表の図源氏武将の伝承、元亨2年の若一王子の勧請、岸村から王子村への改称までの年表。11世紀源氏の武将が慰霊(伝承)1322熊野から若一王子を勧請改称岸村から王子村へ(時期は諸説)
勧請は元亨2年(1322年)と伝わりますが、資料によって年代に揺れがあり、改称の時期も確定していません。
出典
  • 国立国会図書館「ランドマーク」王子の項(岸村から王子村への改称、紀伊熊野からの勧請を確認)
  • 北区「このまちアーカイブス」王子(元亨2年・豊島氏による勧請の紹介を確認)
  • 辞書・神社紹介記事(勧請年の資料差、源氏武将の慰霊伝承は一次資料では未確認)

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