確率変数の性質
期待値・分散・共分散・確率変数の線形結合を理解します。
このモジュールで学ぶこと
「テストの点数を全員に10点プラスしたら、平均と分散はどう変わる?」「男女の身長を合計した確率変数の分散は?」確率変数を変換したり足したりするとき、期待値・分散がどう変化するかを知っていれば、複雑な計算を公式一本で処理できます。このモジュールでは確率変数の「操作のルール」を学びます。
期待値と分散の変換規則
あるクラスの数学テスト(平均60点・分散100)の点数を全員に 点し、さらに 倍にすると、平均と分散はどうなるでしょうか?
定数 を使った変換 に対して:
この例では なので 、 です。重要なのは「定数の加算()は期待値だけを動かし、分散には影響しない」という点です。散らばりは全員同じだけずらしても変わりません。一方、係数倍( 倍)は期待値を 倍、分散を 倍にします(標準偏差は 倍)。
:定数の加減算は分散に影響しない。係数は分散に2乗で効く。
共分散と相関係数:2変数の「関係」を数値化する
前のモジュールまでは単一の確率変数を扱ってきました。では2つの確率変数 (身長)と (体重)が同時に変動する場合、その「関係の強さ」はどう測るでしょうか?
が平均より高いとき も平均より高くなりやすい——この「一緒に動く傾向」を数値にしたものが共分散です:
正の共分散は「同じ方向に動く傾向」、負は「逆方向」、ゼロは「線形の関係なし」を意味します。ただし共分散は単位(cm×kg など)を持つため、-1〜1 に標準化した相関係数で比較するのが一般的です:
は で、 が1に近いほど線形の関係が強いことを表します。
共分散の計算式:。期待値の公式から導ける実用的な形です。
確率変数の和の期待値と分散
「男性の身長 と女性の身長 を足した の期待値・分散は?」このような確率変数の和の統計量も、公式で求められます。
まず期待値について。これは独立性に関わらず常に成り立ちます:
分散については共分散が関係します:
と が独立な場合は となり、分散は単純に足し算できます。直感的には「互いに無関係なばらつきを合算すると、それぞれのばらつきが積み上がる」という意味です。差の分散 は共分散項の符号が逆になり となります。
独立な確率変数の和の分散:。差 の分散でも符号に注意して同様に計算。
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