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データの可視化

棒グラフ・ヒストグラム・茎葉図・度数分布表・箱ひげ図で1変数のデータを視覚化します。2変数の関係(散布図・相関・クロス集計)は次のモジュールで学びます。

ヒント:このモジュールで学ぶこと

「数値の表を眺めているだけでは気づかなかったことが、グラフを描いた瞬間に見えてくる」これがデータ可視化の醍醐味です。たとえば100人分の身長データが数字の羅列として並んでいても、分布の形・外れ値の存在は一目ではわかりません。適切なグラフや表を選んで描くことで、データが「語りかけてくる」ようになります。このモジュールでは1変数のデータを整理・可視化する基本ツールを学びます。2変数の関係(散布図・相関係数・クロス集計)は次のモジュール「散布図・相関・クロス集計」で扱います。


1. 基本的な統計グラフ:目的に合わせて選ぶ

棒グラフ量の比較 円グラフ構成比 折れ線時間の変化 散布図2変数の関係
グラフは「何を伝えたいか」で選ぶ。棒グラフは量の大小をくらべる、円グラフは全体に占める割合(構成比)、折れ線は時間による変化やトレンド、散布図は2つの量の関係を見るのに向く。目的に合わないグラフを選ぶと誤解のもとになる。

統計グラフは「何を伝えたいか」によって使い分けます。グラフの種類を間違えると、データの特徴が正確に伝わりません。試験では「このデータにはどのグラフが適切か」という問いが頻出です。

1変数のデータを見るグラフ:

  • 棒グラフ:「血液型別の人数」「月別の販売数」など、カテゴリごとの数量を比較する。棒の高さが値を表し、棒の間に隙間がある。
  • 積み上げ棒グラフ:棒グラフを積み上げた形。各棒の中に複数のカテゴリを積み上げ、合計値とその内訳の構成比を同時に比較できる。「月別の商品カテゴリ別売上の推移」のような用途に適する。100%積み上げ棒グラフ(帯グラフ)は割合の比較に特化する。
  • 折れ線グラフ:「月別の気温推移」「年別の人口変化」など、時間の経過とともに変化する量を表す。点を線で結ぶことで趨勢(トレンド)を読み取れる。
  • 円グラフ:全体を100%として「構成比(割合)」を表す。扇形の角度が各カテゴリの比率を示す。「年代別の支持率」など全体に占める割合を強調したいときに使う。
  • 帯グラフ:棒を100%に揃えて積み上げた比率のグラフ。複数のグループ間で構成比を比較するのに適している。例:「年代別の投票先の割合比較」
  • レーダーチャート(蜘蛛の巣グラフ):複数の指標を放射状の軸で表し、多角形の面積・形で総合評価を視覚化する。例:「ある選手の攻撃力・守備力・スピード・スタミナ・テクニック」5項目の比較。バランスの良し悪しが一目でわかるが、軸の順番によって見た目が変わる点に注意。
  • ローソク足(ローソクチャート):株価など時系列の金融データで使われるグラフ。1本のローソクが「始値・終値・高値・安値」の4値を表す。終値が始値より高ければ陽線(白/赤)、低ければ陰線(黒/青)で表示。時系列グラフの一種で、上昇・下降トレンドや価格の変動幅を視覚化する。

2変数以上のデータを見るグラフ:

  • 散布図:2変数の関係を点で表す(次のセクションで詳しく学ぶ)
  • バブルチャート:散布図に第3の変数を「バブル(円)の大きさ」として加えたグラフ。X軸・Y軸・バブルサイズの3変数を同時に視覚化できる。例:「GDP(X軸)・平均寿命(Y軸)・人口(バブルサイズ)」で国別データを表示する。
  • モザイク図:2つの質的変数の関係を面積で表すグラフ。クロス集計表を視覚化したもので、各カテゴリの割合を縦・横の幅で同時に表す。「性別と血液型の分布」のような2カテゴリ変数の関係を把握するのに有効
  • 複合グラフ(2軸グラフ):棒グラフと折れ線グラフを重ねて、単位の異なる2変数(例:売上額と成長率)を同時に表示する

試験ポイント:「時間の変化を見るなら折れ線グラフ」「構成比を見るなら円グラフ・帯グラフ」「複数指標の総合比較ならレーダーチャート」「3変数の関係ならバブルチャート」「金融の4値データならローソク足」という使い分けを押さえましょう。棒グラフとヒストグラムの違い(棒グラフは離散カテゴリ、ヒストグラムは連続量を区間に分けたもの)も頻出です。


2. ヒストグラム:分布の「形」を読む

50人のクラスのテスト点数を分析するとします。データを「0〜9点」「10〜19点」...「90〜100点」のような等幅の区間(階級またはビン)に分け、各階級に何人いるかを棒の高さで表したグラフがヒストグラムです。

ヒストグラムを描くと、分布の「形状」が見えてきます。

  • 左右対称(山型):多くの人が平均点付近に集中している標準的な状態。
  • 右裾が長い(右歪み):ほとんどの人が低得点だが、少数の高得点者がいる状態。年収分布の典型例です。
  • 左裾が長い(左歪み):高得点者が多く、低得点者が少ない状態。簡単すぎるテストに多い形です。
  • 双峰型(2つの山):得点層が2つに分かれているサイン。男女など2つのグループが混在している可能性があります。
左右対称(山型)右裾が長い(右歪み)左裾が長い(左歪み)双峰型(2つの山)
ヒストグラムの形で分布の性質が読める。左右対称は平均付近に集中(標準的)。右歪みは少数の大きな値が裾を引く(年収など)。左歪みはその逆(簡単な試験)。双峰型は山が2つ=別グループ(男女など)が混ざっているサイン。

ヒストグラムは「1変数のデータ全体の分布形状」を把握するためのグラフです。棒グラフとの本質的な違いは横軸にあります。棒グラフは「血液型A・B・O・AB」のようなカテゴリを横軸にしますが、ヒストグラムは「60点以上70点未満」のように連続した数値を等幅の区間(階級)に区切ったものを横軸にします。だから棒の間に隙間がなく、隣り合う棒は連続した区間を表しています。試験では「ヒストグラムに適したデータはどれか」という問いが出るので、「連続量の分布を見るときはヒストグラム」と覚えましょう。


3. 茎葉図と度数分布表:データを整理して読む

ヒストグラムが視覚的に分布の形を見せるツールなら、茎葉図と度数分布表は数値として分布を整理するツールです。

茎葉図は、数値の「十の位」を茎として縦に並べ、「一の位」を葉として横に書き出す図です。たとえば「53, 67, 71, 75, 78, 82, 85, 91」というデータなら、十の位(茎)を縦に書き、一の位(葉)を横に書き出します。

5 | 3

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9 | 1

元のデータを残したままヒストグラムのような分布の形が見え、データ数が少ないときに便利です。

度数分布表は各階級の件数をまとめた表で、次の列から構成されます。

  • 階級:データを分けた区間(例:「60点以上70点未満」)
  • 階級値:階級の中央の値(例:「60〜70」の階級値は 65)。個々のデータが見えないとき「この区間のデータは全員 65 点だった」と仮定して平均を計算するために使う
  • 度数:その階級に含まれるデータの件数(絶対数)
  • 累積度数:最初の階級から当該階級までの度数を積み上げた絶対数(例:「70点未満の人は何人いるか」を直接読み取れる)
  • 相対度数:度数 ÷ 全体の件数(割合、合計は必ず1)
  • 累積相対度数:最初の階級から順に相対度数を積み上げた値(累積度数 ÷ 全体件数に等しい)

度数分布表からの統計量の求め方(試験頻出): 個々のデータが見えないときは、各階級の「代表値」として階級値を使って計算します。

例:点数のデータ(合計20人)

階級階級値度数相対度数累積度数累積相対度数
50〜605540.2040.20
60〜706580.40120.60
70〜807560.30180.90
80〜908520.10201.00
合計201.00

平均

「各階級値 × 相対度数」を全階級で合計したものが、度数分布表から求める平均です。

累積相対度数グラフ(ogive): 横軸に階級の上限値、縦軸に累積相対度数をとった折れ線グラフです。「テストで70点以下の人は全体の何%いるか」のように、ある値以下(以上)に何割が入るかを即座に読み取れます。試験では累積相対度数グラフから「中央値はどのあたりか(累積50%の横軸の値)」を読み取る問いが出ます。

0.5 1.0 0 中央値≈66 点数 → 累積相対度数
累積相対度数グラフ(オージャイブ)。横軸は点数(階級の上限)、縦軸はそこまでに全体の何割が入るか。縦軸の 0.5 から水平にたどり、曲線と交わった点の横軸が中央値(この例では約66点)。「70点以下は何%か」なども曲線から直接読み取れる。

4. 箱ひげ図:分布の全体像を1枚で読む

前のモジュール「データの整理と要約」で四分位数(Q1・Q2・Q3)の計算方法を学びました。このセクションでは「計算済みの四分位数をどうグラフで読み取るか」「複数グループの分布をどう比較するか」に特化します。

ヒストグラムは分布の形を細かく見せてくれますが、「このデータの四分位数はいくつか」を一目で伝えるのは苦手です。そこで使うのが箱ひげ図(box plot)です。四分位数と最小値・最大値を「箱とひげ」に変換したグラフです。

IQR = Q₃ − Q₁ 最小値Q₁中央値Q₃最大値外れ値
箱ひげ図の読み方。箱の左端が Q₁、右端が Q₃ で、箱の長さが四分位範囲 IQR = Q₃−Q₁(中央50%の散らばり)。箱の中の線が中央値。ひげは外れ値を除いた最小値・最大値まで伸び、その外側の点(赤)が外れ値。平均と標準偏差では見えない「分布の形・外れ値」が一目でわかる。

読み方のポイント:

  • 箱の下端(Q1)と上端(Q3):中央50%のデータがこの箱の中に収まる。箱が小さいほどデータが集中している。
  • 箱の中の横線(Q2):中央値。箱の中でどちらに偏っているかで歪みがわかる。
  • ひげ:外れ値を除いた最小値・最大値(または の範囲)。
  • 外れ値:ひげの端を超えた点は「○」などで別に描く。

ヒストグラムとの使い分け: グループ間の分布を比較したいとき(男女別・クラス別など)は、複数の箱ひげ図を横に並べると一目で比較できます。ヒストグラムを複数並べると読み取りが大変になる場面で特に有効です。

はずれ値(外れ値)の処理: 外れ値は単に「削除する」のではなく、原因を調べることが重要です。

  • 入力ミス・測定エラーなら修正または除外
  • 本物の極端な値(正当な観測)なら除外せず、外れ値として明示した上で分析する
  • 外れ値が存在する場合、平均より中央値を代表値として使う方が実態を反映しやすい

試験ポイント:「箱の両端は何か」「外れ値の判定基準は何倍のIQRか(1.5倍)」「外れ値がある場合の適切な代表値はどれか(中央値)」という問いは頻出です。


よくある誤解・つまずき

  • 棒グラフとヒストグラムは別物です。 棒グラフは「血液型」などの離散カテゴリで棒の間に隙間があり、ヒストグラムは連続量を区間(階級)に区切ったもので隙間がありません。
  • 円グラフは「構成比」専用です。 時間変化(折れ線)や量の精密な大小比較(棒)には向きません。グラフは「何を伝えたいか」で選びます。
  • 度数分布表から平均を出すときは「階級値 × 相対度数」の合計を使います。 個々の値は見えないので、各階級の代表として階級値を使います。
  • グラフは目的とのミスマッチが誤読を生みます。 「時系列なのに円グラフ」のような選び方をしない。

ここまでのまとめ

  • 目的別のグラフ選び:時系列→折れ線、構成比→円・帯、カテゴリ比較→棒、分布の形→ヒストグラム、多指標→レーダー。
  • ヒストグラム:連続量を階級に区切って度数を棒で表す。形(対称・右/左歪み・双峰)を読む。
  • 度数分布表:階級値・度数・相対度数・累積度数。平均は「階級値 × 相対度数」の合計。
  • 箱ひげ図:五数要約(最小・Q1・Q2・Q3・最大)。複数グループの比較に強い。

確認クイズ(抜粋)

Q1. 「月別の気温の推移」を表すのに最も適したグラフはどれか。

A. 折れ線グラフ

Q2. ヒストグラムと棒グラフの本質的な違いとして正しいのはどれか。

A. ヒストグラムは連続量を階級に区切ったもので棒の間に隙間がなく、棒グラフは離散カテゴリを並べたもので棒の間に隙間がある

Q3. ヒストグラムが「右裾が長い(右歪みの)分布」を示しているとき、代表値の大小関係として一般的に正しいのはどれか。

A. 最頻値 ≤ 中央値 ≤ 平均

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