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確率の基礎

確率の定義・加法定理・乗法定理を理解します。

このモジュールで学ぶこと Chapter 1 では平均・標準偏差・相関係数など、手元のデータを「記述する」方法を学びました。しかし実際のデータには必ずばらつきがあります——この不確実性を数値化するのが確率論です。「サイコロを振るとき、3以下が出る可能性はどれくらい?」——この素朴な疑問から確率の世界は始まります。日常会話では「たぶん」「おそらく」と曖昧に使う「可能性」を、0から1の数値として厳密に定義・計算するのが確率論です。具体的な例(サイコロ・コイン・トランプ)を使いながら、確率の定義と計算規則をしっかり身につけましょう。 確率の基本概念:標本空間・事象・確率の定義 サイコロを1回振る実験を考えます。出る目は必ず1〜6のどれかです。このとき「起こりうる結果の全リスト」——1, 2, 3, 4, 5, 6の6通り——をまとめた集合を標本空間()といいます。「どんな結果でも必ず標本空間の中にある」という感覚でとらえてください。サイコロなら と書きます。 この標本空間のうち「注目したい結果のグループ」を事象といいます。「3以下が出る」に注目するなら 、「偶数が出る」なら という事象として表せます。 「1が出る」と「2が出る」は絶対に同時に起こりません(1回の試行で2つの目は出ない)。このように同時に起こり得ない2つの事象を排反(disjoint)といいます。一方、「3以下が出る(A)」と「偶数が出る(B)」は、目「2」は3以下でも偶数でも両方当てはまるので共通の結果があり、排反ではありません。 確率 は次の3つの公理(コルモゴロフの公理)を満たす数として定義されます。 ① (確率は0以上1以下) ② (何らかの結果は必ず起こる) ③ 排反な事象 に対して (排反な事象の確率は足し算できる) この3つのルールだけで、加法定理・条件付き確率・独立性など、すべての確率計算が導けます。最小限の公理系です。 サイコロの例では、各目が等確率(1/6)で出ると仮定すると、「3以下が出る」確率は となります。 加法定理と余事象:「または」の確率を求める 確率の定義を押さえたところで、次は計算の道具である加法定理を学びましょう。 「52枚のトランプから1枚引いたとき、ハートまたはエースが出る確率」を考えます。 ハートは13枚(A♥, 2♥, ..., K♥)→ 13/52 エースは4枚(A♥, A♦, A♣, A♠)→ 4/52 単純に足すと 13/52 + 4/52 = 17/52 しかしよく見ると、「ハートのエース(A♥)」はハートにも・エースにも両方含まれていて、2回数えてしまっています。実際に当てはまるカードは 16枚(13枚 + 4枚 − 重複1枚)なので確率は 16/52 です。このダブルカウントを自動的に修正する公式が加法定理です。 (ハートかつエース = ハートのエース1枚)を引いて となります。 の引き忘れは頻出ミスなので注意しましょう。A と B が排反なら なので、単純な足し算 になります。 余事象は「A が起こらない」事象で と書きます。「コインを1回投げて裏が出る」は「表が出る」の余事象です。確率の公理から: 「少なくとも1回〜」という問いは、余事象「1回も〜ない」を先に求めて1から引く方が計算しやすい場合が多いです。 条件付き確率と独立:「情報があるとき」の確率 雨の日には電車が遅延しやすいというのは日常の感覚です。「雨が降っている」という情報がある場合の遅延確率は、その情報がない場合と異なります。このような「事象Bが起こったという条件のもとで事象Aが起こる確率」を条件付き確率といいます。 例えば、「雨の日」の確率 、「雨の日かつ遅延する」確率 とすると、「雨の日に遅延する条件付き確率」は (50%)です。 条件付き確率の定義式を変形すると乗法定理が導けます。 の両辺に をかけると: 「B が起こったときに A も起こる確率」を求めるとき、 を直接知らなくても、 と がわかれば計算できます。 一方、「コインを2回投げる」とき、1回目に表が出たからといって2回目に表が出る確率は変わりません。このように「一方の情報がもう一方の確率を変えない」とき、2つの事象は独立(independent)といいます。独立の定義式は: この2式は同値です——条件付き確率の定義 に「」を代入して を両辺に掛けると右の式が導かれます。試験ではどちらの形でも使えるように理解しておきましょう。 コインを複数回投げる・サイコロを複数回振るなど、「各回の結果が前の回に影響しない」試行全体を独立な試行(independent trials)といいます。独立な試行では、複数回の結

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