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時系列解析

「過去」から「未来」を読み解く、時間の流れを考慮した統計学。

このモジュールで学ぶこと 「昨日の気温が高かったから、今日のアイス売上も多いだろう」——このように過去が未来に影響するデータの分析が時系列解析です。このモジュールでは、データの中に潜む「時間のルール」(トレンド・季節性・自己相関)を発見し、ARIMAモデルで未来を予測する方法を学びます。 アイスクリーム売上には「3つのルール」が隠れている あるアイスクリームショップの月次売上(万円)を見てみましょう: 1月:150万円(冬——低い) 7月:520万円(夏——ピーク) 翌1月:165万円(昨年より少し増えた) このデータには3つのパターンが混じっています: トレンド:年々売上が少しずつ伸びている(健康ブームの影響) 季節性:夏は3倍以上売れ、冬は落ち込む(1年周期のパターン) 自己相関:先週の売上が良いと今週も良い傾向がある 時系列解析では、これらのパターンを数式で捉えて未来を予測します。 自己相関:過去の自分が未来の自分に影響する 自己相関係数(Autocorrelation Coefficient)とは、「ある時点の値」と「 期前の値」の相関係数です。例えばアイス売上の「12か月前との相関」が高ければ「去年の7月が良かったなら今年の7月も良い」というパターンが確認できます。 試験頻出: 自己相関が強い → 過去から予測できる構造がある 自己相関がゼロ → ホワイトノイズ(完全にランダム。過去から未来を一切予測できない) ホワイトノイズ:平均0・分散一定・自己相関なし、という3条件を満たす系列です。時系列分析の目標は「残差がホワイトノイズになるモデルを見つけること」——残差がホワイトノイズなら「取り出せる情報はすべて取り出した」ことになります。 ARIMAモデル:3つの部品を組み合わせる 時系列データの予測で最も有名なモデルが ARIMA です。3つの要素の組み合わせです: AR(自己回帰: AutoRegressive):過去の自分を参考にする。「昨日の売上が多ければ今日も多いだろう」 I(差分: Integrated):データの「坂道(トレンド)」を平らにして扱いやすくする操作 MA(移動平均: Moving Average):過去の「たまたまの外れ(誤差)」の影響を考慮する ただし、ARIMAモデルを使いこなすには重要な前提条件があります。それが「定常性」です。 定常性:分析の「土台」 例で考えましょう:常に右肩上がりの株価データは平均が時間とともに増え続けるため「非定常」です。一方、毎日の気温の「平均からのズレ」は平均もばらつきも時間によらず安定しているため「定常」です。 定常とは?:平均やばらつきが、時間の経過に関わらず一定である状態 「非定常」なデータはそのままではARIMAモデルがうまく使えません。差分をとるなどして「定常」なデータに変換するのが鉄則です。 定常性を統計的に検定するには ADF検定(Augmented Dickey-Fuller検定) が代表的です。「単位根がある(=非定常)」という帰無仮説を検定し、棄却されれば定常と判断します。 状態空間モデル 状態空間モデル(State Space Model)は「観測できない真の状態」が時間変化し、そこからノイズを含む「観測値」が生成されるという二層構造を持ちます:状態方程式 と観測方程式 の組み合わせです。 試験頻出:ARIMAモデルは状態空間モデルの特殊ケースとして表現できます。状態空間モデルはARIMAより一般的な枠組みで、非定常・多変量・欠測値にも対応できます。 準1級の重要トピック:スペクトル解析 時系列データには「1年周期」「1週間周期」など複数のリズムが混ざっていることがあります。これらを分解して「どの周期のリズムが最も強いか」を可視化する手法がスペクトル解析です。音楽に例えると「曲の中に含まれる音程(周波数)の強さを調べること」に相当します。アイスの例では「365日周期(1年)」のリズムが最も強く現れます。成分分解とは「トレンド+季節変動+不規則変動」に分けるプロセスです(加法モデルは単純な足し合わせ、乗法モデルは掛け合わせで、季節変動の振れ幅がトレンドに比例して大きくなる場合は乗法モデルが適します)。

確認クイズ(抜粋)

Q1. 時系列データの統計的性質が時間に依存せず一定である性質を何と呼ぶ?

A. 定常性

Q2. 自己回帰、移動平均、および差分を組み合わせた代表的な時系列モデルは?

A. ARIMA

Q3. 状態空間モデルの「観測方程式」 の各要素の説明として正しいものはどれか?

A. は観測値、 は観測できない真の状態

全10問のクイズはサイトのインタラクティブ版でお試しください。

第6章の他のモジュール

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