会社法の基礎(株式会社・機関設計)
株式会社の特徴・株主総会の決議要件・取締役の義務・取締役会の役割を学びます。
株式会社とは:有限責任・法人格・自由譲渡性
「会社が倒産しても出資した以上の損害は受けない」。これが株式会社の大きな特徴である有限責任です。株主は出資額の範囲でしか責任を負わないため、多くの人が安心して出資できます。これにより大規模な資金調達が可能になります。
株主総会の決議:普通・特別・特殊の3段階
株主総会は株式会社の最高意思決定機関です。決議の重要度に応じて必要な賛成割合が異なります。
定款変更には特別決議(3分の2以上)が必要です。会社の根本ルールを変えるには厳しい要件が課されます。なぜなら、少数株主の権利を守るためです。
取締役の義務:4つの義務を整理する
取締役は会社(株主)から経営を委任された者として、以下の義務を負います。
競業避止義務・利益相反取引の制限はどちらも取締役が「自分の利益」を「会社の利益」より優先させることを防ぐためのルールです。
取締役会の役割:設置義務がある会社とない会社
取締役会は、取締役全員で構成される会社の業務執行の決定機関・監督機関です。
主な権限:
取締役会の設置が義務付けられるのは、公開会社・大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社等です。取締役会を設置しない小規模会社では、株主総会がより広い権限を持ちます。
取締役の責任:会社・第三者への損害賠償
取締役が義務違反により会社や第三者に損害を与えた場合、個人として賠償責任を負います。「会社の経営者」という立場には大きなリスクが伴うことを示す重要な制度です。
取締役個人が支払う賠償額は莫大になることがあります。実際の判例では、不適切な融資判断や粉飾決算への関与で数十億円〜数百億円の賠償が命じられたケースもあります。
株主代表訴訟:取締役を訴える株主の権利
取締役が会社に損害を与えても、会社(経営陣)自身が同僚の取締役を訴えるのは現実的ではありません。そのため、株主は会社に代わって取締役の責任を追及する訴え(株主代表訴訟)を起こせます(会社法847条)。
提訴資格:6ヶ月以上継続して株式を保有する株主(公開会社の場合)
手続き:まず会社に「取締役を訴えてください」と請求し、60日以内に会社が訴訟を起こさなければ、株主が直接提訴できる
訴訟費用:手数料は一律13,000円(請求額にかかわらず)。少額で起こせるため経営監視機能を持ちます
経営判断の原則:萎縮を防ぐ判例上のルール
取締役の判断がすべて結果論で裁かれると、誰もリスクのある経営判断をしなくなります。そこで判例は「経営判断原則」を認めています:取締役が①情報収集を尽くし、②合理的な判断プロセスを経て、③その時点で合理的と評価できる判断を下していれば、たとえ結果として会社に損害が生じても責任を問われません。
確認クイズ(抜粋)
Q1. 株式会社の「有限責任」の説明として正しいものはどれか。
A. 株主は出資額の限度でしか会社の債務について責任を負わない
Q2. X社(株式会社)の定款を変更して事業目的を追加することになった。株主総会での可決に必要な要件として正しいものはどれか。
A. 議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要(特別決議)
Q3. 株主総会の普通決議の要件として正しいものはどれか。
A. 出席株主の議決権の過半数(定足数:議決権の過半数)
全10問のクイズはサイトのインタラクティブ版でお試しください。
同じChapterの他のモジュール
※本サイトは個人による学習支援サイトであり、東京商工会議所の公式サイトではありません。