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4つのケアと予防の3段階

職場のメンタルヘルスを守る4つのケアの枠組みと、予防の3段階・職場復帰支援の流れを学びます。

ヒント:このモジュールで学ぶこと

メンタルヘルスが職場全体の問題であることがわかりました。では、「誰が」「いつ」動くのかを整理します。このモジュールでは、職場全体で重層的に取り組む「4つのケア」と、発症前から復職後まで対応する「予防の3段階」を学びます。


1. 厚生労働省の指針と4つのケア

「本人が頑張ればいい」「上司が気にかければいい」「産業医に任せておけばいい」。対策がバラバラでは機能しません。厚生労働省は、職場全体で重層的に取り組む枠組みとして4つのケアを定めています。

厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2006年策定、2015年改正)に基づき、4つの主体がそれぞれの立場でケアを担います。

① セルフケア(労働者自身)

労働者自身がストレスに気づき対処すること。本検定Ⅲ種(セルフケアコース)のメインテーマです。

② ラインによるケア(管理監督者)

直属の上司が部下の変化に気づき、声をかけ、専門家につなぐケア。厚生労働省の指針は、ラインによるケアの具体的な取組み内容として次の3点を挙げています。

  1. 「いつもと違う」部下の把握と対応 — 遅刻・早退・欠勤の増加、無断欠勤、残業・休日出勤の不自然な増減など、それまでの行動様式からのズレに気づくこと。ただし、病気かどうかの判断は管理監督者の仕事ではありません。話を聴いたうえで、産業医等の専門家につなぐところまでが役割です。
  2. 部下からの相談への対応 — 部下が相談しやすい環境・雰囲気を日常的に整えておくこと。
  3. 職場環境等の把握と改善 — 日常の職場管理や意見聴取、ストレスチェックの集団分析結果などから職場のストレス要因を把握し、改善を図ること。
「いつもと違う」部下に気づく 遅刻・欠勤増加、残業の不自然な増減など 話を聴く(傾聴) 産業医等の専門家につなぐ 病気かどうかの判断はしない ✕ 管理監督者が病気だと決めつける 診断は医師の仕事。ここが頻出の引っかけ
ラインによるケアの核心は、「いつもと違う」部下への気付きから始まり、話を聴いたうえで産業医等の専門家につなぐところまで。管理監督者自身が病気かどうかを診断することは求められておらず、むしろしてはいけない(診断は医師の仕事)。このほか、部下からの相談への日常的な対応、職場環境等の把握と改善もラインによるケアの柱(厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」)。

試験ポイント:管理監督者はメンタルヘルスの専門家ではありませんが、「早期発見・早期対応」の役割を担います。「いつもと違う」に気づいても自分で病気かどうかを判断してはいけません。ここが頻出の引っかけです。

③ 事業場内産業保健スタッフ等によるケア

産業医・保健師・人事労務担当者などによる個別相談・環境改善のサポート。

試験ポイント:産業医の選任は常時50人以上の事業場に義務付けられています(労働安全衛生法)。

④ 事業場外資源によるケア

EAP(従業員支援プログラム)など外部の専門機関を活用したケア。匿名で相談できることが特徴です。

4つのケアは並列の4項目に見えますが、実際は労働者本人を中心に内側から外側へ層をなす関係です。図で位置関係を整理しましょう。

「4つのケア」は並列の4項目ではなく、労働者本人を中心に、内側から外側へ層をなす関係にある。①セルフケア(本人)→②ラインによるケア(直属の上司)→③事業場内産業保健スタッフ(産業医・保健師)→④事業場外資源(EAP等)の順で、外側に行くほど専門性・匿名性が高まる。内側の層で対応しきれない場合に、外側の層へつなぐ(早期発見・早期対応の連携)。

2. 一次予防・二次予防・三次予防

4つのケアで「誰が担うか」がわかりました。次は「いつ介入するか」という視点です。これが予防の3段階です。

風邪を例に考えると、「手洗いで風邪をひかないようにする(一次予防)」「熱が出たら早めに受診する(二次予防)」「完治後に再発しないよう体力をつける(三次予防)」。メンタルヘルスも同じ発想です。

予防の段階目的主な取り組み
一次予防発症を防ぐストレス軽減、職場環境改善、教育研修
二次予防早期発見・早期対処ストレスチェック、面接指導、早期受診
三次予防再発防止・職場復帰復職支援プログラム、職場環境の調整

試験ポイント:Ⅲ種のセルフケアは主に一次予防と二次予防の観点から取り組むものです。


3. 職場復帰支援の流れ

三次予防の中心となる職場復帰支援は、「主治医がOKと言えばすぐ復帰」ではなく、組織全体で段階的に進めるプロセスです。厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、この流れを第1〜第5ステップという公式の名称で定めています。試験は「第3ステップは何か」のようにステップ番号で問うため、内容だけでなく番号と名称の対応を覚える必要があります。

  1. <第1ステップ>病気休業開始及び休業中のケア — 主治医の診断書を提出し、休業を開始。管理監督者・事業場内産業保健スタッフが休業中のケアにあたる
  2. <第2ステップ>主治医による職場復帰可能の判断 — 労働者が「職場復帰可能」の判断が記された診断書を提出し、産業医等が内容を精査する
  3. <第3ステップ>職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成 — 産業医・事業者・人事が連携して情報を収集・評価し、職場復帰の可否と業務内容・就業制限・フォロー体制を決定する
  4. <第4ステップ>最終的な職場復帰の決定 — 労働者の状態を最終確認し、産業医等の意見書を踏まえて事業者が最終決定する
  5. <第5ステップ>職場復帰後のフォローアップ — 復帰後も定期的に状態を確認し、必要に応じて支援プランを見直す
第1ステップ 病気休業開始及び休業中のケア 第2ステップ 主治医による職場復帰可能の判断 第3ステップ 職場復帰の可否の判断及び 職場復帰支援プランの作成 第4ステップ 最終的な職場復帰の決定 第5ステップ 職場復帰後のフォローアップ
職場復帰支援は、厚生労働省の手引きが定める第1〜第5ステップを段階的にたどる。第1ステップ(休業開始・休業中のケア)と第2ステップ(主治医の職場復帰可能の判断)を経て、第3ステップで産業医・事業者・人事が連携して職場復帰の可否の判断と支援プランの作成を行う。第4ステップで事業者が最終決定し、復帰後も第5ステップとしてフォローアップが続く。「主治医の判断=即復帰」ではなく、第3・第4ステップの手続きを経ることが試験の要点。

試験ポイント:「主治医が復職可能と言った→すぐ復帰」ではなく、産業医・事業者も含めた支援プランの策定(第3ステップ)が必要です。「第3ステップ=支援プランの作成」「第4ステップ=最終決定」の順番と番号を混同しないこと。


よくある誤解・つまずき

  • セルフケアだけが本人の役割ではありません。 4つのケアが連携してはじめて機能します。
  • 予防の3段階を混同しない。 一次(未然防止)・二次(早期発見と対応)・三次(復職支援・再発防止)。
  • 「主治医がOK=即復帰」ではありません。 産業医・事業者を含めた復職支援プランが必要。

ここまでのまとめ

  • 4つのケア:セルフケア/ラインケア(管理監督者)/事業場内産業保健スタッフ/事業場外資源。
  • ラインケアの3本柱:「いつもと違う」部下への気付きと対応(診断はしない)/部下からの相談対応/職場環境等の把握と改善。
  • 予防の3段階:一次=未然防止、二次=早期発見、三次=復職支援。
  • 職場復帰支援は第1〜第5ステップ(休業開始/主治医の判断/プラン作成/最終決定/フォローアップ)。番号と名称をセットで覚える。
  • 各ケアと予防段階の連携が成果のカギ。

確認クイズ(抜粋)

Q1. 「4つのケア」のうち、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅲ種(セルフケアコース)が最も重点を置くケアはどれか。

A. セルフケア

Q2. 「4つのケア」を定めている厚生労働省の指針名として最も適切なものはどれか。

A. 労働者の心の健康の保持増進のための指針

Q3. 「いつもと違う」部下に気づいたとき、管理監督者の対応として最も適切なものはどれか。

A. 話を聴いたうえで産業医等の専門家につなぐ

全10問のクイズはサイトのインタラクティブ版でお試しください。

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