潮の満ち引きはなぜ起こるか|起潮力と潮汐バルジ
潮の満ち引きは、月と太陽が海水を引く力によって起こる。海面がおよそ半日の周期で上下するこの現象を、潮汐という。
起潮力とは
潮の満ち引きを起こす力を起潮力(きちょうりょく)という。気象庁の説明によれば、起潮力は、月が地球に及ぼす引力と、地球が月と地球の共通の重心のまわりを公転することで生じる慣性力を合わせた力である。
気象庁は、この力の説明でかつて「遠心力」という語を用いていたが、より正確な表現とするため「慣性力」に改めている。本サイトもこの表記に従う。地球の中心では月の引力と慣性力がつり合うが、中心からずれた場所では両者に差が生じ、その差が海水を動かす起潮力になる。
地球の両側が膨らむ
起潮力は、地球を月の方向とその反対方向の両側へ引き伸ばすように働く。海水が両側で盛り上がり、地球はラグビーボールのような形に変形する。この盛り上がりを潮汐バルジという。
起潮力と潮汐バルジ(模式図)。起潮力は地球を月の方向とその反対方向の両側へ引き伸ばす。月に面した側と反対側の両方で海面が盛り上がり、同時に満潮になる。
月に面した側だけでなく、その反対側も同時に満潮になるのは、このためである。反対側では月の引力が弱く、公転による慣性力が上回って、海水が外へ引き伸ばされる。
なぜ半日でおよそ2回か
地球は一日に一回自転する。その間に、海に面した各地点は、二つの潮汐バルジと、その中間の低い海面を順に通過する。このため、多くの場所で一日におよそ二回の満潮と干潮が訪れる。
満干の時刻は、毎日少しずつ遅れていく。月が真南に来てから次に真南へ戻るまでの間隔(太陰日)は約24時間50分で、一日より約50分長い。気象庁も、満潮と干潮の時刻が毎日約50分ずつ遅れると説明している。
潮汐で使う言葉
潮汐の話でよく出る言葉を整理する。
- 満潮(高潮、こうちょう):海面が最も高くなった状態。
- 干潮(低潮):海面が最も低くなった状態。
- 干満差(潮差):満潮と干潮の海面の高さの差。
- 上げ潮(満ち潮)と下げ潮(引き潮):海面が上がっていく途中と、下がっていく途中。
- 停潮(潮止まり):満潮や干潮の前後で、潮の動きが止まったように見える時間帯。
満潮の別名である「高潮(こうちょう)」と、台風などで海面が異常に上がる災害の「高潮(たかしお)」は、読み方も意味も別のものである。区別は 高潮や津波との違い で扱う。月と太陽の位置で潮の大きさが変わるしくみは 大潮と小潮 で続ける。