潮の満ち引きはなぜ起こるか|起潮力と潮汐バルジ

最終更新: 2026年7月13日

潮の満ち引きは、月と太陽が海水を引く力によって起こります。海面がおよそ半日の周期で上下するこの現象を、潮汐といいます。

起潮力とは

潮の満ち引きを起こす力を起潮力(きちょうりょく)といいます。気象庁の説明によれば、起潮力は、月が地球に及ぼす引力と、地球が月と地球の共通の重心のまわりを公転することで生じる慣性力を合わせた力です。

気象庁は、この力の説明でかつて「遠心力」という語を用いていましたが、より正確な表現とするため「慣性力」に改めています。本サイトもこの表記に従います。地球の中心では月の引力と慣性力がつり合いますが、中心からずれた場所では両者に差が生じ、その差が海水を動かす起潮力になります。

地球の両側が膨らむ

起潮力は、地球を月の方向とその反対方向の両側へ引き伸ばすように働きます。海水が両側で盛り上がり、地球はラグビーボールのような形に変形します。この盛り上がりを潮汐バルジといいます。

月側と反対側の両方が膨らみ、同時に満潮になる満潮満潮

起潮力と潮汐バルジ(模式図)。起潮力は地球を月の方向とその反対方向の両側へ引き伸ばします。月に面した側と反対側の両方で海面が盛り上がり、同時に満潮になります。

月に面した側だけでなく、その反対側も同時に満潮になるのは、このためです。反対側では月の引力が弱く、公転による慣性力が上回って、海水が外へ引き伸ばされます。

なぜ半日でおよそ2回か

地球は一日に一回自転します。その間に、海に面した各地点は、二つの潮汐バルジと、その中間の低い海面を順に通過します。このため、多くの場所で一日におよそ二回の満潮と干潮が訪れます。

満干の時刻は、毎日少しずつ遅れていきます。月が真南に来てから次に真南へ戻るまでの間隔(太陰日)は約24時間50分で、一日より約50分長くなっています。気象庁も、満潮と干潮の時刻が毎日約50分ずつ遅れると説明しています。

潮の型と日潮不等

実際の潮の動きは、周期の異なるいくつもの波が重なったものです。気象庁は、起潮力を周期ごとの成分に分けて考えます。この成分を分潮(ぶんちょう)といいます。なかでも影響が大きいのが、次の主要な四つの分潮です。

分潮気象庁の呼び名おおよその周期
M2主太陰半日周潮約半日
S2主太陽半日周潮約半日
K1日月合成日周潮約1日
O1主太陰日周潮約1日

M2とS2は半日ほどの周期をもつ半日周潮、K1とO1は一日ほどの周期をもつ日周潮にあたります。半日周潮が強い場所では一日に二回のはっきりした満干になり、日周潮の影響が強い場所では、二回の満干の大きさがそろいにくくなります。

一日二回の満潮(または干潮)で、深く引く方と浅くしか引かない方が現れることがあります。この差を日潮不等(にっちょうふとう)といいます。気象庁によれば、月の公転軌道面と地球の赤道面が一致せず角度をもつために起こります。差の大きさは、半日周潮と日周潮の重なり方によって場所ごとに変わります。潮干狩りに春が向くことも、この日潮不等と関わっています(釣りと潮干狩り)。

潮汐で使う言葉

潮汐の話でよく出る言葉を整理します。

  • 満潮(高潮、こうちょう):海面が最も高くなった状態。
  • 干潮(低潮):海面が最も低くなった状態。
  • 干満差(潮差):満潮と干潮の海面の高さの差。
  • 上げ潮(満ち潮)と下げ潮(引き潮):海面が上がっていく途中と、下がっていく途中。
  • 停潮(潮止まり):満潮や干潮の前後で、潮の動きが止まったように見える時間帯。

満潮の別名である「高潮(こうちょう)」と、台風などで海面が異常に上がる災害の「高潮(たかしお)」は、読み方も意味も別のものです。区別は 高潮や津波との違い で扱います。月と太陽の位置で潮の大きさが変わるしくみは 大潮と小潮 で続けます。

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