亀戸大根|江戸東京野菜・日本一小さい白い大根

最終更新: 2026年6月22日

亀戸の名物は、和菓子だけではありません。香取神社の周辺で育てられてきた「亀戸大根」は、いまや希少な江戸東京野菜のひとつ。小ぶりで真っ白な、この土地ならではの大根の歴史と特徴を紹介します。

江戸東京野菜「亀戸大根」とは

亀戸大根は、JA東京中央会の「江戸東京野菜」に登録されている在来の野菜です。江戸東京野菜とは、江戸から東京へと受け継がれてきた、地域に根ざした伝統的な野菜のことです。

JA東京中央会の資料によれば、亀戸大根の栽培は文久年間(1860〜1864年ごろ)から、亀戸香取神社の周辺で始まったとされ、昭和の初めごろまでさかんに作られていた記録が残っています。

名前の移り変わり

亀戸大根は、はじめから「亀戸大根」と呼ばれていたわけではありません。

時期呼び名
明治のころおかめ大根・お多福大根(おたふくだいこん)
大正の初め産地の名をとって「亀戸大根」

ふっくらとした形を、おかめ(お多福)の顔に見立てた愛らしい呼び名が、やがて産地の名前へと変わっていきました。

亀戸大根の特徴

亀戸大根は、現代のスーパーで見かける大きな大根とはずいぶん姿が違います。JA東京中央会・農林水産省の資料によれば、おもな特徴は次のとおりです。

  • 小ぶり:根の長さは約30cm、重さは200g足らずで、「日本一小さい大根」とも呼ばれます。
  • 茎が白い:葉のつけ根(茎)まで白いのが大きな特徴です。
  • 葉がやわらかくトゲがない:葉もやわらかく、漬物などに利用されてきました。
亀戸大根約30cm・首まで白い一般的な青首大根35〜40cm・首が緑

亀戸大根と一般的な青首大根の比較(模式図)。亀戸大根は長さ約30cmと小ぶりで、首まで白いのが特徴です。一般的な青首大根は大ぶりで、上部が緑色になります。寸法は目安です。

こうした特徴は、長い年月のあいだに在来種として選び抜かれ、受け継がれてきたものです。緻密でみずみずしい肉質は、煮物や浅漬けなどに向くとされています。

一般的な大根との比較

亀戸大根一般的な青首大根
長さ約30cm(小ぶり)35〜40cm前後
茎・首の色白い上部が緑(青首)
やわらかくトゲが少ない品種による
位置づけ江戸東京野菜(在来種)現在の主力品種

数値はいずれも目安です。在来種は個体差が大きく、栽培される環境によっても変わります。

福分けまつりと保全

大正の終わりから昭和にかけて、亀戸一帯は宅地化・工業化が進み、大根を育てる畑は次第に姿を消していきました。現在、亀戸大根を出荷する生産者はごくわずかになっています。

在来種を守る生産者の取り組みは貴重なものですが、私人である生産者の実名や年齢などの個人情報は、本サイトでは扱いません。

いっぽうで、亀戸大根を地域の記憶として残す取り組みも続いています。毎年3月には、亀戸大根を亀戸香取神社に奉納する「福分けまつり」が開かれ、近隣の人々に親しまれています。在来の野菜を、まつりや学校での栽培を通じて次の世代へ伝えていく——そんな地域ぐるみの保全が、亀戸大根を今に生かしています。

まとめ

  • 亀戸大根は文久年間に香取神社周辺で始まった江戸東京野菜
  • 明治の「おかめ・お多福大根」から大正初めに「亀戸大根」へ
  • 約30cmと小ぶりで茎まで白いのが特徴
  • 3月の福分けまつり(香取神社)で奉納され、保全が続けられている

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