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確率の公理と包除原理

コルモゴロフの公理・補事象・包除原理——確率論の数学的基礎を学びます。

このモジュールで学ぶこと 「サイコロで偶数か3の倍数が出る確率は?」——この問いを正確に解くには、確率の数学的な定義(公理)と、複数の事象を組み合わせるルールが必要です。このモジュールでは確率論の土台となるコルモゴロフの公理と包除原理を、具体例とともに習得します。条件付き確率・独立については次のモジュールで扱います。 確率を「日常の不確かさ」から数字にする 「たぶん雨が降る」「めったにない」「ほぼ確実」——日常の不確かさを 0〜1 の数字で表したのが確率です。 確率 0:絶対に起きない(サイコロで7が出る) 確率 0.5:半々(コインを1回投げて表が出る) 確率 1:必ず起きる(サイコロで1〜6のいずれかが出る) 「0〜1の数字で不確かさを表す」というアイデアはわかりました。次は、この数字が守らなければならないルール(公理)を学びます。 確率の基本:コルモゴロフの公理 「確率」を数学として扱うには、曖昧な直感ではなく厳密な定義が必要です。 サイコロを1回振る実験を考えます。出うる全結果の集合を標本空間(Sample Space) と呼びます。「偶数が出る」という部分集合 を事象(Event)と呼び、その確率は です。複数の事象の「または」は和事象 、「かつ」は積事象 と表します。 確率には3つのルール(コルモゴロフの公理)があります: 公理1:すべての事象 に対して (確率は必ず 0 以上) 公理2:全事象の確率は 1、すなわち 公理3:互いに排反な(同時に起きない)事象 , に対して たった3つの公理から、確率論の全体が導けます。例えば空事象(絶対に起きない事象) の確率は、 と は排反なので公理3より 、かつ だから が導けます。また が起きない事象を補事象(余事象) と呼び、公理1・2から が導かれます。 試験頻出:「 が起きない」という補事象 は最頻出の公式の1つです。直接計算が難しいときは補事象を使うのが定石です。 包除原理:「ダブルカウント」の修正 1つの事象の確率を学びました。次は「2つの事象のどちらか(または両方)が起きる」確率の計算です。 あるクラス40人のうち、数学が得意な人が20人、英語が得意な人が15人、両方が得意な人が5人います。「数学か英語か、少なくとも一方が得意な人」は何人でしょうか? 単純に 人と計算すると、両方が得意な5人を二重に数えてしまいます。正しくは 人です。この「足して引く」考え方が包除原理(Inclusion-Exclusion Principle)です。 ここで (「 または 」)を和事象、(「 かつ 」)を積事象と呼びます。2つが重ならない(排反)なら となり、公理3に戻ります。 3事象への拡張 3つの事象では「2つ重なる部分を引き過ぎた分」をまた足す必要があります: ド・モルガンの法則は補事象を組み合わせた変換です。「 か のどちらも起きない」とは「 が起きない、かつ が起きない」と同じ意味——この言い換えを式にすると: 使いどころ:「少なくとも1つ起きる確率」の余事象として という形で使うことが多いです。

確認クイズ(抜粋)

Q1. コルモゴロフの確率の公理から導かれる性質として正しいものはどれか?

A. 空事象の確率は が成り立つ

Q2. 10枚のコインを同時に投げるとき、少なくとも1枚が表になる確率として正しいものはどれか(各コインの表裏は等確率)?

A.

Q3. , , のとき、 はいくらか?

A.

全10問のクイズはサイトのインタラクティブ版でお試しください。

第1章の他のモジュール

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