変数変換:Y = g(X) の分布とヤコビアン
X の分布から Y = g(X) の分布を求める方法を学びます。単調な変換の公式とヤコビアン、単調でない変換、2変数の変換(指数分布2つの和)。
このモジュールで学ぶこと
の分布が分かっているとき、 の分布を求める方法を学びます。例えば「 が正規分布に従うとき、 はどんな分布か」(対数正規分布)という問いです。
- 単調な変換の公式とヤコビアン
- 単調でない変換()
- 2つの変数をまとめて変換する
1. 確率は移しても変わらない
帯の幅と高さ
がある区間に入る確率と、その区間を で移した先に が入る確率は同じです。区間の幅が変われば、同じ面積を保つために高さ(密度)が変わります。確率分布の基礎で、 を2倍すると幅が2倍、山の高さが半分になったのと同じです。
2. 単調な変換の公式
公式とヤコビアン
が単調増加か単調減少なら、 として次の式です。
は「 を少し動かしたとき、 がどれだけ動くか」で、幅の伸び縮みを補正します。これをヤコビアンと呼びます。
例で確かめる
| 変換 | の密度 | ||
|---|---|---|---|
| で | |||
| で | |||
| で | 下の式 |
1行目は上の図の曲線です。2行目は、一様乱数から指数分布 の乱数を作る方法として使われます。3行目は次の式になります。
これが対数正規分布 の密度です。
3. 単調でない変換:寄与を足す
2つの x が同じ y に移る
が に従い のときは、1つの に と の2つが対応します。両方の寄与を足します。
これは自由度1のカイ二乗分布の密度で、標本分布の相互関係で使います。
4. 2つの変数をまとめて変換する
面積の倍率を掛ける
から へ変換するときは、 の代わりに、偏微分を並べた行列式 の絶対値を掛けます。この もヤコビアンと呼びます。小さな長方形が、移った先で何倍の面積になるかの補正です。
例:指数分布2つの和
と が独立で、どちらも指数分布 に従うときの和 の分布を求めます。
- も一緒に置くと、、 です
- なので、 です
- 同時密度は ()です
- について0から まで積分すると、 です
これは の密度で、指数分布とガンマ分布で学んだ「2件目が起きるまでの待ち時間」と一致します。手順4の積分の幅 が、図の線分の長さにあたります。
5. このモジュールの変換のまとめ
| 元の分布 | 変換 | 結果 |
|---|---|---|
| 一様 | 密度 | |
| 一様 | 指数 | |
| 標準正規 | 対数正規 | |
| 標準正規 | カイ二乗 | |
| 指数 2つ | ガンマ |
確認クイズ(抜粋)
Q1. 変数変換 の PDF をヤコビアンを使って求める際、 の は何を表すか?
A. (逆関数の微分の絶対値)
Q2. 変数変換で 、 のとき は何の分布に従うか?
A. 対数正規分布
Q3. と が独立で、どちらも指数分布 に従うとき、 の分布はどれか?
A.
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第4章の他のモジュール
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