極値分布:最大値・最小値の分布とガンベル分布
n 個の値の最大値・最小値の分布と、n を大きくしたときに現れる3つの型(ガンベル・フレシェ・ワイブル)を学びます。
このモジュールで学ぶこと
「100年に一度の洪水の水位」「10個の部品のうち最初の1個が壊れるまでの時間」のように、たくさんの値の最大値や最小値の分布を学びます。
- 最大値・最小値の分布関数と密度
- を大きくしたときの極限:ガンベル・フレシェ・ワイブルの3つの型
1. 最大値と最小値の分布関数
全部が x 以下になる確率
が独立で、どれも分布関数 に従うとします。最大値 が 以下になるのは、 個全部が 以下のときです。最小値 が を超えるのは、全部が を超えるときです。
最小値の例:最初の故障
平均寿命1000時間の指数分布()に従う部品10個が独立に動くとき、次の式になります。
最初の故障までの時間は に従い、平均は100時間です。
密度
分布関数を微分すると、最大値と最小値の密度になります。
途中の 番目の値の分布は、十分統計量・順序統計量で図にしています。
2. n を大きくしたときの形
ずらすと形がそろう
を大きくすると、最大値はどんどん大きくなります。そこで、位置をずらし、幅をそろえて形だけを比べます。
ガンベル分布が出てくる
平均1の指数分布なら です。最大値から を引くと、次のようになります( を使います)。
この がガンベル分布の分布関数です。 が2重になった形は、ここから来ています。
3. 極限は3つの型しかない
一般極値分布
元の分布が違っても、ずらして幅をそろえた最大値に極限の分布があるなら、それは3つの型のどれかです(Fisher-Tippett-Gnedenko の定理)。3つは、形状パラメータ をもつ一般極値分布(GEV)にまとめられます。
どの型になるかは元の分布の裾で決まる
元の分布の右の裾が指数的に減ればガンベル型、べき乗でゆっくり減ればフレシェ型、上限があればワイブル型になります。
| 型 | 元の分布の例 | 使う場面 | |
|---|---|---|---|
| ガンベル | 0 | 正規、指数 | 洪水、気温 |
| フレシェ | 正 | コーシー、パレート | 金融の大損失、地震 |
| ワイブル | 負 | 一様 | 上限のある量 |
最小値とワイブル分布
最小値は、符号を反転すれば最大値として扱えます。ワイブル型は正確には通常のワイブル分布を左右反転した形で、通常のワイブル分布は最小値の極限として現れます。部品の寿命(一番弱い所で壊れる)に使うのはこちらです。
確認クイズ(抜粋)
Q1. 平均寿命1000時間の指数分布に従う部品10個が、独立に動いています。最初の1個が壊れるまでの時間の期待値はいくらか?
A. 100 時間
Q2. 極値分布(Fisher-Tippett-Gnedenko の定理)に関して、正規分布の最大値が収束する分布はどれか?
A. ガンベル分布(Gumbel)
Q3. 一般極値分布(GEV)で形状パラメータ のとき、どの極値分布に対応するか?
A. フレシェ分布(Type II)
全10問のクイズはサイトのインタラクティブ版でお試しください。
第4章の他のモジュール
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