亀戸の見どころとめぐり方|天神・香取神社・名物の歩き方
亀戸の歴史と文化は、本やネットで読むだけでなく、実際に歩いて楽しむことができます。「武」と「文」の二つの社を結び、名物を味わう、亀戸ならではのめぐり方を、季節の行事とあわせて紹介します。
亀戸めぐりの軸
亀戸の見どころは、二つの神社と二つの名物を軸にすると、すっきりと整理できます。「武」の香取神社と「文」の天神社をたずね、亀戸大根とくず餅という土地の味を楽しむ。これが亀戸めぐりの基本の形です。
二つの社をたずねる
亀戸天神社では、藤の季節(春)や梅の季節(早春)の境内が特に美しく、太鼓橋の向こうに東京スカイツリーが重なる眺めが楽しめます。受験を控えた方には、学問の神・菅原道真公への合格祈願もおすすめです。
亀戸香取神社は、勝負ごとやスポーツの勝運を願う社。大切な試合や挑戦を控えているときに、勝矢の故事にちなんだ勝運祈願に立ち寄る人が多い社です。参道は亀戸香取勝運商店街という「昭和レトロ」な景観の商店街になっており、参拝とあわせて歩いて楽しめます。
「文」の天神社と「武」の香取神社を一日で結んで歩くと、亀戸という町が持つ信仰の幅広さを、体で感じることができます。亀戸駅にはJR総武線のほか、今も2両編成で走る東武亀戸線も乗り入れており、この小さな路線自体も亀戸の近代を物語る見どころの一つです。
名物を味わう
亀戸天神の門前では、船橋屋のくず餅を味わえます。小麦のでんぷんを発酵させて蒸した、関東ならではの発酵和菓子に、黒蜜ときな粉をかけていただく一皿は、参拝の楽しみのひとつです。
亀戸大根は、現在ではごく限られた量しか作られていませんが、毎年3月の「福分けまつり」など、季節の行事で出会えることがあります。栽培していた農家の一つ「亀戸升本」(明治38年/1906年創業)は、幻となりかけた亀戸大根を契約農家で作り続け、ビタミンCが豊富な大根とあさりの相性を生かした名物「亀戸大根あさり鍋」を今に伝えています。
もう一つの名物が「亀戸餃子」です。昭和29年(1954年)の創業以来、注文できるのは餃子のみ、1皿ずつ焼いて出すという独自の作法を守り続けています。江戸期の和菓子や在来野菜とは違う、平成以降に育った名物として、駅周辺にはホルモン・もつ焼きの店も数多く集まっています。
「梅屋敷」という名前がふたつある理由
亀戸には「梅屋敷」と呼ばれるものが二つあり、混同されやすいので整理しておきます。一つは、浮世絵の記事で紹介した、広重が『名所江戸百景』に描き、ゴッホが模写した江戸時代の梅園「梅屋敷」です。これは現存せず、絵の中にだけ残る名所です。
もう一つは、平成25年(2013年)3月に開館した観光施設「亀戸梅屋敷」です。江戸時代の梅屋敷をモチーフに建てられた、買い物や食事、休憩ができる地域交流拠点で、名物の販売や、浮世絵・江戸切子を飾ったイベントスペースを備えています。同じ名前でも、片方は江戸の絵の中の名所、もう片方は令和の今も実際に訪れられる施設という違いがあります。
普門院と伊藤左千夫の墓
亀戸天神の近くには、真言宗智山派の寺院「普門院」があります。大永2年(1522年)に橋場で創建され、元和2年(1616年)に現在の亀戸に移った寺で、亀戸七福神の毘沙門天をまつる札所の一つです(社寺の記事も参照)。
境内には、歌人伊藤左千夫(いとうさちお)の墓があり、昭和56年(1981年)4月10日、江東区の史跡に登録されました。左千夫は明治期に活動した歌人で、門下から島木赤彦・斎藤茂吉ら、のちの歌壇を担う人材を輩出しています。江戸の名所絵から始まった亀戸の文化は、明治の文学者の墓という形でも、この土地に刻まれています。
季節の行事カレンダー
亀戸の二つの社では、季節ごとに特色のある行事が行われます。おもなものをまとめました(日程は年により前後する場合があります)。
| 時期 | 行事 | 場所 |
|---|---|---|
| 1月24・25日 | うそ替え神事 | 亀戸天神社 |
| 早春 | 梅まつり | 亀戸天神社 |
| 3月 | 福分けまつり(亀戸大根の奉納) | 亀戸香取神社 |
| 4〜5月ごろ | 藤まつり | 亀戸天神社 |
| 5月5日 | 勝矢祭 | 亀戸香取神社 |
行事の日程・内容は変更されることがあります。お出かけの前に、各神社の公式の案内で最新の情報をご確認ください。
まとめ
- 亀戸めぐりは「二つの社(天神・香取)+名物(大根・くず餅・餃子)」が軸
- 天神社は藤・梅と合格祈願、香取神社は勝運・スポーツ祈願
- 「梅屋敷」は江戸の絵の中の名所(現存せず)と、令和の観光施設(2013年開館)の二つがある
- 普門院には歌人・伊藤左千夫の墓(江東区史跡)があり、亀戸七福神の毘沙門天も祀る
- 季節の行事(うそ替え・福分けまつり・藤まつり・勝矢祭)が町の魅力