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推定量の性質:不偏性・一致性・有効性の理論

良い推定量の4条件・ガウス・マルコフの定理・クラーメル・ラオの不等式——推定量の品質を評価する理論を学びます。

このモジュールで学ぶこと 前のモジュールでは「どうやってパラメータを推定するか」(最尤法・モーメント法)を学びました。このモジュールでは「その推定量は良い推定量か」を評価する4つの性質と、精度の理論的限界(クラーメル・ラオの不等式)を学びます。 ダーツのたとえで4性質を覚える 的の中心が「真の値 」、矢1本1本が「推定値 」とします。 推定量の4つの性質 不偏性(Unbiasedness):何度も試行したとき矢の重心が的の中心に来ている——。標本平均 は母平均の不偏推定量。標本分散 は不偏でなく、 が不偏分散。 一致性(Consistency):矢の本数(データ数 )を増やすほど中心に集まる——()。大数の法則が典型例。 有効性(Efficiency):同じ「不偏な」推定量を比べたとき散らばり(分散)が最小——不偏推定量の中で分散が最小のものを最小分散不偏推定量(MVUE: Minimum Variance Unbiased Estimator)と呼びます。ラオ・ブラックウェルの定理は「十分統計量を使って任意の不偏推定量を改良し、MVUEを構成できる」ことを保証します。 推定量の相対効率:2つの不偏推定量 , の相対効率 。 なら のほうが効率的。正規分布で標本平均 vs. 標本中央値の相対効率は ——標本平均のほうが効率的です。 試験頻出:不偏性と一致性は独立した性質です。「不偏だが不一致」「不偏でないが一致」の推定量が存在します。 ガウス・マルコフの定理 ガウス・マルコフの定理(Gauss-Markov Theorem):線形モデル (誤差は独立・等分散・期待値0を仮定)のもとで、最小二乗推定量(OLS)は線形不偏推定量の中で分散が最小です(BLUE: Best Linear Unbiased Estimator)。 「BLUEである」=「線形・不偏・最小分散」の3条件を同時に満たす唯一の推定量がOLSです。誤差の正規性は不要(等分散だけで十分)な点が重要です。 クラーメル・ラオの不等式 クラーメル・ラオの不等式(Cramér-Rao Inequality)は「どんな不偏推定量も超えられない精度の限界」を与えます。フィッシャー情報量が大きい(データが の変化に敏感に反応する)ほど を精確に推定できるため、分散の下限 は小さくなります——「情報が多いほど精度の上限も高くなる」という直感を式にしたものです: はフィッシャー情報量(Fisher Information)——「データが についてどれだけ情報を持っているか」の指標です。 個の独立観測では下限は ——サンプルが増えるほど精度の限界が上がります。 この下限を達成する不偏推定量を有効推定量(efficient estimator)と呼びます。正規分布の に対する が代表例。

確認クイズ(抜粋)

Q1. 「推定量の期待値が真の値に等しい」という性質を何と呼ぶか?

A. 不偏性

Q2. のとき推定量が真の値に確率収束する性質を何と呼ぶか?

A. 一致性

Q3. クラーメル・ラオの不等式においてフィッシャー情報量 が大きいほど推定はどうなるか?

A. 分散の下限が下がりより精密な推定が原理的に可能になる

全10問のクイズはサイトのインタラクティブ版でお試しください。

第4章の他のモジュール

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